去年も一昨年も、5月になると欧州が不安定化する。二度ある事は三度。
今年はギリシャとフランンスの選挙が引き金となった。
ギリシャの総選挙で緊縮財政を推進してきた連立与党が大敗し、
フランスも財政再建派のサルコジ氏に代わり、オランド新大統領が政権に就いた。
その結果、欧州のソブリン・リスクに対する懸念が強まり、ここ下、小康状態にあった世界の金融市場は、
またしても不安定な動きとなってしまった。円高が進み、株価は再び9000円を割ってしまった。
だが、そもそもユーロ諸国の財政問題は10年、20年という長い時間軸の中でしか解決しない問題である。
しかも欧州の人達は海千山千で、したたかである。この程度の揺り戻しや、紆余曲折は当然なのだ。
ユーロは右に左に揺れながらも収まるべきところにやがて収れんして行く筈だ。財政再建とその遠い先の財政統合に向かってユーロは既に動き出していると見るべきだ。
先週、民主党の小沢氏は消費税反対を改めて主張し始めた。
ギリシャとフランスの選挙結果を見て、やはり消費税増税では選挙に勝てないと鋭く感じたのだろう。
いかにも選挙第一主義者の小沢氏らしい。
しかし、周知のように、日本の財政状況は、既に、ギリシャよりもさらにひどい状況になってしまっている。
消費税反対論を主張するならば、具体的な対案をしっかりと示すのことが、日本の未来に責任を持つ大政治家の責務だ。
きっとまともな対案なんてないのだろう。
消費税増税に自らの政治生命をかけると野田首相は言った。ならば、こうした身内からの揺さぶりに屈することなく、その実現に向けてまっすぐ突き進んでもらいたく思う。しばらくはじっくりと政治の動きを見守る必要がある。