青島の海水浴場汚染
先日、中国の青島の海水浴場で大量の海藻が発生したとテレビで報じていた。
中国では都市化が急速に進み、都市部の人口が急増した結果、栄養分の豊富な生活排水が河川を通じて海に流れ込んでいるため、海藻が大量発生したと解説していた。
何を今更という感じである。以前から中国の環境問題は相当深刻な状況にあるし、情況はどんどん悪化しているのだ。
3年ほど前に青島の下水処理場を訪問した事がある。それもフランスのヴェオリア社が運営を受託している処理場を視察した。
ヴェオリアと言えば世界的な水処理会社である。最新鋭の処理場かと期待していたが、全く裏切られた。
設備は陳腐化しており、一応、政府が定めている基準値はクリアしているとのことだったが、本当かしらと思った。
とにかく処理した筈の下水なのに、まるでどぶの様な臭い。しかもその処理水を目の前の川にどんどん放出していたのだ。
この処理場は河口のすぐ近くに位置していたので海に放出しているのとほとんど同じである。青島は中国でも有名な海水浴場だそうだが、海水は相当汚染されているとその時直感した。
実は、海が汚いのは青島だけではない。汚染が激しくて、九州と目と鼻の距離しかない渤海湾では既に海洋生物が生息していないと言われているほどである。このままでは東シナ海産の魚介類もそのうち食べられなくなるかもしれないのだ。
陸地と違って海はつながっている。だからこうした状況は日本としても黙って見ているだけでは済まない。日本もかつては都市化の中で環境汚染を経験し、そしてそれを克服してきた。この貴重な経験を今すぐにでも生かさなければならない。自然の浄化力にばかり頼っているとそのうち取り返しがつかなくなる。日中双方の英知と英断は待ったなしなのだ。