「破壊は前触れもなくやってきた」。これは復興構想会議が25日に提出した提言書の最初の書き出しである。
日本の後世に遺る提言の書き出しにしては正直物足りない。たぶんこの後に続く文が必要なのだと思う。私なら「そして前触れのない破壊はこれからも繰り返される」とつなげたい。
大地震、津波だけでなく温暖化に伴う超大型台風、大雨、竜巻、地滑りなどなど、今回の様な破壊は決して過去の記録にとどまる訳ではない。先日、復興会議のメンバーでもある某氏の話を聞く機会があった。「これからの時代は大量突然死の時代である。しかも残念ながらそれは防げない。たとえば首都圏直下のM7以上の地震は30年以内に確実に起こる。それは明日かもしれない。キーワードはどうやって防ぐかではなくどう逃げるかだ」と語っていた。
今回の震災復興は直接的には東北の被災地が対象だが、実はそれだけではない。「逃げる」、「逃がす」とい新しい発想に切り替え、都市設計から社会システムなど、凡そ日本全体の様々なあり方を点検し、見直し、作りかえるという膨大な作業が存在している事を忘れてはならない。例えば、首都圏機能の分散化などは早急に取り組むべき課題だろう。何でもかんでも東京集中という考えはもはや危険な発想だ。復興庁を手始めに、この際仙台に行政機関を思い切って移転させるべきだ。金融庁や文科省などもその候補だろう。
国が動かなくても個人や企業はリスク分散でこれからはますます海外に出ていくことになるはずだ。国は口先ばっかりで、責任逃れで、頼りにならない存在である事をみんな知ってしまった。自分の事は自分で解決しなければならないという大事なことをみんな学んだ。金も技術も人も、最初はゆっくりだが、少しづつ勢いを増しながら着実に外に向かって流れるはずだ。
一方、日本の魅力に引き付けられて入ってくる個人や企業もたくさんある。だから心配は無用なのだ。要はこうした自然な双方向の動きに対して、国がそれを邪魔をしない事が重要である。